CATEGORY — 共有者トラブル
共有者が行方不明・音信不通の場合の対処法
不在者財産管理人制度を使った解決方法を解説
共有名義の不動産を持っていると、共有者の一人と長年連絡が取れなくなってしまうケースが少なくありません。連絡先が分からない、引っ越し先が不明、そもそも生死すら分からないといった状況では、不動産全体の売却や管理についての話し合いを進めることができず、放置せざるを得なくなってしまいます。本記事では、共有者が行方不明の場合に取り得る法的手続きについて解説します。
まずは所在調査を行う
共有者と連絡が取れない場合、いきなり裁判所の手続きに進む前に、まずは戸籍の附票を取得して現在の住民票上の住所を調べることが基本です。戸籍の附票には本籍地を基準とした住所の履歴が記載されており、転居を繰り返していても現住所にたどり着ける可能性があります。この際、共有不動産の登記事項証明書に記載された共有者の氏名・住所をもとに、専門家(弁護士・司法書士)に職務上請求で調査を依頼する方法が一般的です。
所在が分かっても連絡を拒否される場合
住所は判明したものの、手紙を送っても返事がない、居留守を使われているなど、意図的に連絡を拒否されているケースもあります。この場合は、2023年の民法改正で新設された「所在等不明共有者」に関する制度を活用し、裁判所の決定を得たうえで、その共有者の同意なしに変更行為や持分の取得を進められる場合があります。
| 状況 | 取り得る主な手続き |
|---|---|
| 住所も生死も不明 | 不在者財産管理人の選任申立て |
| 生死不明が7年以上継続 | 失踪宣告の申立て |
| 住所は判明しているが連絡拒否 | 所在等不明共有者に関する裁判所の決定 |
不在者財産管理人制度とは
所在調査をしても見つからない場合、家庭裁判所に申し立てて「不在者財産管理人」を選任してもらう方法があります。不在者財産管理人は、行方不明者に代わってその財産を管理する人で、弁護士や司法書士が選ばれることが一般的です。不動産の売却など重要な行為を行う場合には、別途家庭裁判所の許可(権限外行為許可)が必要になりますが、これにより行方不明の共有者がいる状態でも不動産全体の売却を進めることが可能になります。ただし、申立てから管理人選任まで数ヶ月、予納金として数十万円程度の費用がかかる点には注意が必要です。
生死が7年以上不明な場合は失踪宣告も選択肢
行方不明の状態が7年以上続いている場合は、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることで、その共有者を法律上死亡したものとみなすことができます。失踪宣告がなされると相続が開始されるため、行方不明者の相続人との間で遺産分割協議を行い、共有関係を整理することが可能になります。ただし、失踪宣告の手続きには官報公告などの期間が必要で、申立てから審判確定までに1年前後かかることもあります。
手続きを待つ前に、まずはご自身の持分だけを
売却するという選択肢もご相談ください。
よくある質問
行方不明の共有者がいても自分の持分だけは売却できますか?
はい。共有持分は各共有者が単独で処分できる権利のため、他の共有者が行方不明であっても、自分の持分だけを売却することは可能です。
不在者財産管理人の選任にはどのくらい費用がかかりますか?
申立て費用自体は数千円程度ですが、管理人への報酬に充てる予納金として、数十万円程度を裁判所に納める必要があるのが一般的です。
所在等不明共有者の制度はどんな場合に使えますか?
相当な調査を尽くしても氏名や所在が分からない共有者がいる場合に、裁判所の決定を得ることで、その共有者を除いた他の共有者だけで変更行為や持分取得を行えるようになる制度です。
まとめ:状況に応じた制度の使い分けが解決の鍵
共有持分の売却・買取とは?で解説しているとおり、共有者が行方不明の場合でも、不在者財産管理人の選任や失踪宣告、所在等不明共有者の制度など、状況に応じた法的手続きを活用することで解決への道が開けます。ただし、いずれの手続きも時間と費用がかかるため、早期に解決したい場合は、ご自身の持分だけを売却するという選択肢もあわせて検討することをおすすめします。
