CATEGORY — 共有持分の基礎
共有持分があれば不動産を使える?使用収益権と独占使用のルール
持分の大小にかかわらず、全体を使う権利がある
共有名義の不動産では、「自分の持分は少ないから使えないのでは」と考える方もいますが、実際は違います。共有者は、持分の大小にかかわらず、共有物の全体を使用できる権利を持っています。一方で、他の共有者との関係で守るべきルールもあります。本記事では、共有持分に基づく使用収益権の基本と、独占使用をめぐるルールを解説します。
共有者は全体を使用できる
民法249条では、各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができると定められています。ここでいう「持分に応じた」とは、使える範囲が持分の割合で区切られるという意味ではなく、持分があることで共有物の全体を使う権利が認められる、という趣旨で理解されています。つまり、持分が10分の1でも、不動産全体を使用する権利があるのです。
他の共有者の使用を妨げてはならない
全体を使えるといっても、無制限ではありません。他の共有者の使用を妨げない範囲でなければならず、自分だけが鍵を管理して他の共有者を締め出すような使い方は問題になります。誰がどの部分を使うかは、共有者間の話し合いで決めるのが基本です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用できる範囲 | 共有物の全体(持分の大小は問わない) |
| 制限 | 他の共有者の使用を妨げない |
| 独占使用の場合 | 対価の償還を求められることがある |
| 使用中の義務 | 善良な管理者の注意義務 |
独占して使う場合は、対価が必要になることも
共有者の一人が、不動産を単独で使い続けている場合、他の共有者から対価を請求されることがあります。2023年4月施行の民法改正でも、共有物を使用する共有者は、別段の合意がない限り、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を負うことが明確にされました。たとえば持分が2分の1の人が全体を独占すれば、他の共有者の持分に相当する使用の対価が問題になります。
収益は持分割合で分ける
使用だけでなく、共有物から得られる収益(賃料など)も、各共有者が持分割合に応じて取得できます。賃貸に出している場合は、持分割合で分配するのが原則です。収益を一人が独占しているときは、他の共有者から返還を求められる可能性があります。
共有名義の使用や分配について、
LINEで気軽にご相談ください。
使い方で揉めたときの考え方
- まずは、誰がどう使うかを話し合って決める
- 合意があれば、その内容を書面に残しておく
- 合意が難しい場合は、対価の取り決めを検討する
- 解決が難しいときは、持分の売却で関係から離れる方法もある
使い方をめぐる対立が長引くと、精神的な負担も大きくなります。早い段階で、出口を考えておくことが大切です。
よくある質問
持分が小さい共有者でも、不動産全体を使えますか?
使えます。持分の大小にかかわらず、各共有者は共有物の全体を使用できます。ただし、他の共有者の使用を妨げない範囲に限られます。
共有者の一人が独占して住んでいる場合、他の共有者は何を請求できますか?
特段の合意がない限り、独占している共有者に対して、自己の持分を超える使用の対価を請求できる場合があります。
共有者の一人が無断で使い始めた場合、出て行かせることはできますか?
持分を持つ共有者は使用する権利があるため、当然に退去を求められるとは限りません。多数決による決定や、対価の請求など、状況に応じた対応が必要です。
共有物を使うときの注意義務はありますか?
共有物を使用する共有者には、善良な管理者の注意をもって使用する義務があります。故意や過失で損害を与えた場合は、責任を問われる可能性があります。
まとめ:全体を使える権利と、守るべきルールをセットで理解する
共有持分の売却・買取とは?で解説しているとおり、共有持分には、不動産全体を使う権利が含まれています。ただし、他の共有者への配慮や、独占した場合の対価といったルールもあります。トラブルが深刻なときは、持分売却という選択肢も視野に入れましょう。
